メンブランの激安CDボックス総まくり(その1)

putchees2007-03-04


ドイツ発の激安ボックスセット


数年前からCDの価格破壊が進んでおります。


国内盤は関係なくて、輸入盤の話です。
クラシックを中心に、
1枚あたりの値段が急激に下がりました。


その中できわだった存在なのが、
ドイツのメンブランmembran(ドキュメンツdocuments)
レーベルです。


クラシックからジャズ、ポップスまで、
古い音源を中心に激安ボックスセットを販売しております。


10枚組で、なんと1200円前後。


制作後50年経った、
著作権期限切れ(?)の音源が多いのですが、
中には新しめの音源も含まれています。


どんなものか気になりませんか?


ぼくは、昨年末に、このレーベルの10枚組ボックスセットを
一気に買い込んでしまいました。


以前も、チャーリー・パーカー
ピアソラのボックスセットをご紹介しましたが*1
この機会に、一気にご紹介してしまいましょう。

北米以外のポピュラー音楽編(その1)


今回と次回は、北米以外のポピュラー音楽のボックスセットを
ご紹介します。


フランスのシャンソンからボブ・マーリーのレゲエ、
それに戦前のドイツの流行歌まで、ごった煮です。


これだけ見境なく買い込む人はあまりいなさそうなので、
役に立つレビューになるかもしれません。


以下、順不同でご紹介していきます。


なお、メンブランのサイトはこちらです。
http://www.membran.net/db_php_eng/index.php


ドイツのamazonには、詳しい情報があるそうですので、
そちらをみてもいいでしょう。

「アフリカAFRICA」



カタログ番号:223515


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★☆☆☆☆


アフリカのポップグループのアルバムを
10枚寄せ集めたもの。


箱の写真にドビックリですが、
中身はフツウ。


ケニア、ザイール、ウガンダ、ガーナと、
国籍はいろいろ。


なぜかゆるーいレゲエが多いです。


まったくアフリカっぽくないので、
拍子抜けします。


それぞれのアルバムは、
日本のアマゾンでも単品で買えるくらいなので、
ひょっとすると有名なグループなのかもしれません。


この中でぼくが面白かったのは、
ケニアのGonda Traditional Entertainers。


現代ポップスとアフリカっぽさが共存してます。
こういうのは面白いですね。


全体としてはあまりおすすめしませんが、
珍しいポップスを聴いてみたいという人はいかがでしょう。

エディット・ピアフEdith Piaf」



カタログ番号:223493


私的ランキング:★★★★☆
おすすめ度  :★★★★★


シャンソンの女王
エディット・ピアフ(1915-1963)の10枚組。


「バラ色の人生La Vie en rose」
「愛の賛歌Hymne a l'amour」
「谷間に三つの鐘が鳴るLes Trois Cloches」
「パリの空の下Sous le ciel de Paris」
「パダン・パダンPadam Padam」


…といった、彼女の代表的な歌が収められています。


面白くないわけがありません。


もちろん音は古いですが、
買って損をすることは絶対にありません。
すばらしすぎます。

シャンソンChanson」



カタログ番号:223000


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★★☆☆☆


シャンソンのアンソロジー10枚組。
イヴ・モンタンYves Montandや
シャルル・アズナブールCharles Aznavourなどが
収められています。


一部はシャンソンというより、
あか抜けないフレンチポップといった感じです。


面白くなくはありませんが、
100%シャンソンらしい音楽を期待すると
拍子抜けかもしれません。


vol.2のほうが、内容的には優れているように思います。


このボックスは現在、廃盤のようなので、
店頭在庫を探してみるといいでしょう。

シャンソン第2集Chanson Vol.2」



カタログ番号:223494


私的ランキング:★★★☆☆
おすすめ度  :★★★☆☆


上のvol.1より、いわゆるシャンソンぽい曲が入ってます。
古くさい録音ですが、それがいい味わい。
ぼくはこっちのほうがずっと気に入りました。


エディット・ピアフEdith Piaf、
ジュリエット・グレコJuliette Greco、
ジャン・ギャバンJean Gabin、
シャルル・アズナブールCharles Aznavour
など、そうそうたるラインナップです。


個人的には、Leo Ferreという人の、
ピアノ伴奏の歌がすばらしく気に入りました。


これで1200円は安すぎるでしょ。


これをiTunesiPodで聴いてたら、
気分はもう、モンパルナスのカフェですよ。


…まあ、それは大げさでも、少なくとも
国立の喫茶店邪宗門に行ったような気分が味わえるはずです。

「ドイツの流行歌Deutscher Schlager」



カタログ番号:222999


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★☆☆☆☆


1910年から1951年までの、
ドイツの流行歌が収められたボックスセット。


流行歌といっても、
ぼくたち日本人には縁がありませんから、
まったく面白くないのですが、
歴史に興味のある人にとってはたまらないはずです。


第一次世界大戦前から、ワイマール期、
ナチスドイツ、そして西ドイツという、
4つの政治体制にまたがる時代の流行歌がまとめて聴けるのです。


ヒトラーの時代に、
ドイツ庶民がラジオやレコードで聴いていた音楽って
どんなのか、ちょっと気になる人は買ってみてもいいでしょう。


1910〜20年代の曲は、さすがに後世の録音ですが、
1930年代以降は、オリジナルのSP録音が収録されています。


個人的にうれしかったのは、
1931年のヒット曲「これぞマドロスの恋」のオリジナルが
収められていたことです。


1945年以降になると、流行歌も、
急にジャズふうになって、
アメリカの影響があらわれるのが興味深い。


2度の敗戦で、ドイツという国が変わっていくさまを、
流行歌から知ることができます。


このシリーズは、この他に2つボックスセットが出ていますから、
さらに探求したい方は聴いてみてください。

「ドイツのダンスオーケストラGrosse Deutsche Tanzorchester」



カタログ番号:223497


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★☆☆☆☆


タイトルはドイツのダンスオーケストラということですが、
つまりは、ナイトクラブに出演するようなバンドの
音楽集ということのようです。


ルフレッド・ハウゼという人が入っていて、
この名前は、ぼくも知っています。


そのほかのバンドは、ドイツでは
有名なのかもしれませんが、
ぼくにはさっぱりわかりません。


ジャズが中心ですが、ジャズだけではなくて、
タンゴ(コンチネンタルタンゴ)や
クラシック名曲の編曲ものみたいなのも入ってます。
いかにもヨーロッパのバンドという感じです。


平たくいうと、要するに
イージーリスニングという感じです。


録音はLP以前のものがほとんどで、時期的には
第二次世界大戦後の音楽だと思うのですが、
詳しいことはよくわかりません。


このジャンルに詳しい人がいたら教えてくださいませ。


いずれにしても、さして面白くはなく、
他人にもあまりおすすめはしません。

北米以外のポピュラー音楽編その2へつづく


さて、きょうはこのへんにして、
つづきは次回ということにいたします。


つづきはこちら→id:putchees:20070328)

*1:パーカーについてはこちら→id:putchees:20061022 ピアソラについてはこちら→id:putchees:20050131