メンブランの激安CDボックス総まくり(その1)
ドイツ発の激安ボックスセット
数年前からCDの価格破壊が進んでおります。
国内盤は関係なくて、輸入盤の話です。
クラシックを中心に、
1枚あたりの値段が急激に下がりました。
その中できわだった存在なのが、
ドイツのメンブランmembran(ドキュメンツdocuments)
レーベルです。
クラシックからジャズ、ポップスまで、
古い音源を中心に激安ボックスセットを販売しております。
10枚組で、なんと1200円前後。
制作後50年経った、
著作権期限切れ(?)の音源が多いのですが、
中には新しめの音源も含まれています。
どんなものか気になりませんか?
ぼくは、昨年末に、このレーベルの10枚組ボックスセットを
一気に買い込んでしまいました。
以前も、チャーリー・パーカーや
ピアソラのボックスセットをご紹介しましたが*1、
この機会に、一気にご紹介してしまいましょう。
北米以外のポピュラー音楽編(その1)
今回と次回は、北米以外のポピュラー音楽のボックスセットを
ご紹介します。
フランスのシャンソンからボブ・マーリーのレゲエ、
それに戦前のドイツの流行歌まで、ごった煮です。
これだけ見境なく買い込む人はあまりいなさそうなので、
役に立つレビューになるかもしれません。
以下、順不同でご紹介していきます。
なお、メンブランのサイトはこちらです。
http://www.membran.net/db_php_eng/index.php
ドイツのamazonには、詳しい情報があるそうですので、
そちらをみてもいいでしょう。
「アフリカAFRICA」
私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度 :★☆☆☆☆
アフリカのポップグループのアルバムを
10枚寄せ集めたもの。
箱の写真にドビックリですが、
中身はフツウ。
なぜかゆるーいレゲエが多いです。
まったくアフリカっぽくないので、
拍子抜けします。
それぞれのアルバムは、
日本のアマゾンでも単品で買えるくらいなので、
ひょっとすると有名なグループなのかもしれません。
この中でぼくが面白かったのは、
ケニアのGonda Traditional Entertainers。
現代ポップスとアフリカっぽさが共存してます。
こういうのは面白いですね。
全体としてはあまりおすすめしませんが、
珍しいポップスを聴いてみたいという人はいかがでしょう。
「エディット・ピアフEdith Piaf」
私的ランキング:★★★★☆
おすすめ度 :★★★★★
シャンソンの女王、
エディット・ピアフ(1915-1963)の10枚組。
「バラ色の人生La Vie en rose」
「愛の賛歌Hymne a l'amour」
「谷間に三つの鐘が鳴るLes Trois Cloches」
「パリの空の下Sous le ciel de Paris」
「パダン・パダンPadam Padam」
…といった、彼女の代表的な歌が収められています。
面白くないわけがありません。
もちろん音は古いですが、
買って損をすることは絶対にありません。
すばらしすぎます。
「シャンソンChanson」
私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度 :★★☆☆☆
シャンソンのアンソロジー10枚組。
イヴ・モンタンYves Montandや
シャルル・アズナブールCharles Aznavourなどが
収められています。
一部はシャンソンというより、
あか抜けないフレンチポップといった感じです。
面白くなくはありませんが、
100%シャンソンらしい音楽を期待すると
拍子抜けかもしれません。
vol.2のほうが、内容的には優れているように思います。
このボックスは現在、廃盤のようなので、
店頭在庫を探してみるといいでしょう。
「シャンソン第2集Chanson Vol.2」
私的ランキング:★★★☆☆
おすすめ度 :★★★☆☆
上のvol.1より、いわゆるシャンソンぽい曲が入ってます。
古くさい録音ですが、それがいい味わい。
ぼくはこっちのほうがずっと気に入りました。
エディット・ピアフEdith Piaf、
ジュリエット・グレコJuliette Greco、
ジャン・ギャバンJean Gabin、
シャルル・アズナブールCharles Aznavour
など、そうそうたるラインナップです。
個人的には、Leo Ferreという人の、
ピアノ伴奏の歌がすばらしく気に入りました。
これで1200円は安すぎるでしょ。
これをiTunesやiPodで聴いてたら、
気分はもう、モンパルナスのカフェですよ。
「ドイツの流行歌Deutscher Schlager」
私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度 :★☆☆☆☆
1910年から1951年までの、
ドイツの流行歌が収められたボックスセット。
流行歌といっても、
ぼくたち日本人には縁がありませんから、
まったく面白くないのですが、
歴史に興味のある人にとってはたまらないはずです。
第一次世界大戦前から、ワイマール期、
ナチスドイツ、そして西ドイツという、
4つの政治体制にまたがる時代の流行歌がまとめて聴けるのです。
ヒトラーの時代に、
ドイツ庶民がラジオやレコードで聴いていた音楽って
どんなのか、ちょっと気になる人は買ってみてもいいでしょう。
1910〜20年代の曲は、さすがに後世の録音ですが、
1930年代以降は、オリジナルのSP録音が収録されています。
個人的にうれしかったのは、
1931年のヒット曲「これぞマドロスの恋」のオリジナルが
収められていたことです。
1945年以降になると、流行歌も、
急にジャズふうになって、
アメリカの影響があらわれるのが興味深い。
2度の敗戦で、ドイツという国が変わっていくさまを、
流行歌から知ることができます。
このシリーズは、この他に2つボックスセットが出ていますから、
さらに探求したい方は聴いてみてください。
「ドイツのダンスオーケストラGrosse Deutsche Tanzorchester」
私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度 :★☆☆☆☆
タイトルはドイツのダンスオーケストラということですが、
つまりは、ナイトクラブに出演するようなバンドの
音楽集ということのようです。
アルフレッド・ハウゼという人が入っていて、
この名前は、ぼくも知っています。
そのほかのバンドは、ドイツでは
有名なのかもしれませんが、
ぼくにはさっぱりわかりません。
ジャズが中心ですが、ジャズだけではなくて、
タンゴ(コンチネンタルタンゴ)や
クラシック名曲の編曲ものみたいなのも入ってます。
いかにもヨーロッパのバンドという感じです。
平たくいうと、要するに
イージーリスニングという感じです。
録音はLP以前のものがほとんどで、時期的には
第二次世界大戦後の音楽だと思うのですが、
詳しいことはよくわかりません。
このジャンルに詳しい人がいたら教えてくださいませ。
いずれにしても、さして面白くはなく、
他人にもあまりおすすめはしません。
*1:パーカーについてはこちら→id:putchees:20061022 ピアソラについてはこちら→id:putchees:20050131