メンブランの激安CDボックス総まくり(その3)

putchees2007-05-22


その2よりつづき


激安10枚組CDボックスセットをご紹介しています。


ドイツのメンブランMembran
(ドキュメンツDocuments)
レーベルから発売されているものです。


10枚組で、なんと1200円前後という値段です。


ジャズからロック、クラシック、シャンソンまで
雑多な品揃えです。


前の2回の記事はこちらです。
その1:北米以外のポピュラー音楽編1
id:putchees200070304
その2:北米以外のポピュラー音楽編2
id:putchees:20070328

iTunesのこやし


この手のCDボックスは、
通して聴くと必ず飽きるので、
iTunesなどでパソコンに取り込んで、
ランダム再生で楽しむのがいいでしょう。


いわばiTunesのこやし


もちろんiPodで聴いてもいいでしょう。


あなたの音楽コレクションに厚みをもたせる
スパイスになることを請け合います。


ちなみに、メンブランのウェブサイトはこちら
http://www.membran.net

北米のポピュラー音楽編


今回は、北米のポピュラー音楽のボックスセットを
ご紹介しましょう。


ジャズは次回以降で、今回はジャズ以外のものです。

「ディギン・ディーパー(ブルース)Diggin' Deeper」



カタログ番号:222024


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★★☆☆☆


副題に「200 legendary blues treasures」と書かれています。
ブルースのアンソロジーです。


1923年から1947年までの録音です。


古い録音ばかりですが、
ロバート・ジョンソンRobert Johnsonや
ライトニン・ホプキンスLightnin' Hopkins、
マディ・ウォーターズMuddy Watersなど、
有名どころが多数収録されています。


ライセンスの関係からか、
ミュージシャンも曲の並びもちゃらんぽらんですが、
どうせもともとシングル盤なのですから、
構やしません。


なるほど、初期のブルーズとはこんなサウンドだったのかと
感心します。


しかし、10枚続けて聴くとたいがい飽き飽きします


やはり、iTunesのこやしとして、
ランダム再生で楽しむのがよさそうです。

「ゴーイン・マッド・ブルースGoin' Mad Blues」



カタログ番号:223507


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★★☆☆☆


これも同じくブルースの名曲集。
上の「ディギン・ディーパー」と、
似たようなミュージシャンが収められています。


ひょっとして重複があるのかもしれませんが、
これだけたくさんの曲が収められていると、
よくわかりませんし、どっちでもいいやという感じです。


収録されている曲は、どれもおそらく有名な録音でしょう。
このふたつのボックスセットを聴けば、
ブルースのなんたるかが、
なんとなくぼんやりわかってきます。*1


系統だったリスニングには向きませんが、
入門にはちょうどよさそうです。

ジョン・リー・フッカーJohn Lee Hooker」



カタログ番号:222916


私的ランキング:★★★☆☆
おすすめ度  :★★★☆☆


1917年生まれのブルースマン
ジョン・リー・フッカーの10枚組アンソロジー


半世紀以上にわたる彼のキャリアの、
初期(1948-50's)の録音が収められています。


ほとんどがLP以前ですが、
ごく一部はステレオ録音です。


これはすばらしいです。


足を踏みならしながらの弾き語りが
最高にグルーヴィです。


おお、これこそブルーズかという気がしてきます。


彼の演奏と歌声はとても現代的で、
古くさく感じられません。*2


ギターをチュンチュン鳴らしながら
語るように歌うところは、(声質もあいまって)
ほとんどジミ・ヘンドリクスJimi Hendrixのように聞こえます。


ブルース好きもロック好きも、
このボックスセットは必聴でしょう。


最高のコストパフォーマンスです。

「ブギウギBoogie Woogie」



カタログ番号:223006


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★☆☆☆☆


このボックスセットに収められているのは、
おもにピアノ独奏によるブルース演奏です。


ウィキペディア英語版によると、
ブギウギとは、ピアノによるブルースのことで、
おもに1930〜40年代に流行ったスタイルだそうです。


12小節のスリーコードのブルースを、
ギターの代わりにピアノで演奏しているという感じです。


古い味わいがあるのですが、
どれもこれも似たり寄ったりなので、
10枚も聴くともうたくさんという感じになります。


北米のポピュラー音楽史に興味のある方とか、
好事家以外にはあまりおすすめしません。

「カントリー&ウェスタンCountry & Western」



カタログ番号:223001


私的ランキング:★☆☆☆☆
おすすめ度  :★★☆☆☆


アメリカの田舎の白人がギターを抱えて
歌っていそうな歌のアンソロジー


1928年から1951年までの、
古ーい録音が収められています。


ぼくはこれを聴いて、
ヨーデルの歌唱法がカントリー&ウェスタンに
多く取り入れられていることを知りました。


ヨロレヒ〜ってやつです。


ヨーデルだけではなく、アイリッシュなど、
ヨーロッパのフォーク音楽の要素が雑多に混じって、
それにブルースの要素が入り込んだ音楽という感じがします。


黒人が白人音楽と出合ってブルーズを生み、
白人が黒人音楽と出合ってカントリーを生み出したということが
なんとなくわかってきます。


このボックスセットには、
1952年以降の録音が収められたvol.2もありますので、
興味のある方は聴いてみてもいいでしょう。

「リズム&ブルースRhythm & Blues」



カタログ番号:223007


私的ランキング:★★★☆☆
おすすめ度  :★★☆☆☆


リズム・アンド・ブルース
音源を集めた10枚組。


なんの解説もないので詳細は不明ですが、
1940〜50年代の音源が収められています。


R&Bって、なんのことかよく知らなかったのですが、
音を聴くと、なるほどと思いました。


エレキギターとベース、ドラムセット、
それに一部サックスなどを加えて演奏される
黒人音楽です。


ブルース以後、ロック以前という感じです。


白人ロックよりもグルーヴィです。
そのせいかどうか、録音が古くても味わいがあります*3


これはなかなか掘り出し物でした。
興味のある方は、聴いてみてもいいでしょう。

「ロック・アラウンド・ザ・クロックRock around the clock」



カタログ番号:223506


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★★★☆☆


最初期のロックンロールの名曲を集めた
ボックスセット。


ビル・ヘイリーBill Haleyの
「ロック・アラウンド・ザ・クロック」や、
エルヴィス・プレスリーElvis Presley
「ブルー・スエード・シューズ」、
リトル・リチャードLittle Richardの
「ロング・トール・サリー」などが収められています。


もちろん、古くさい曲ばかりなのですが、
これだけ有名な曲が入っていたら、
面白くないわけがありません。


こんな録音が10枚1200円だなんて、
ほとんどタダも同然です。


すぐに買った方がいいと思いますよ。

「ロックンロールRock 'n' Roll」



カタログ番号:223002


私的ランキング:★★☆☆☆
おすすめ度  :★★★☆☆


これも、上のボックスセットと同じく、
最初期のロックンロールを収めた10枚組。


リトル・リチャードの「トゥッティ・フルッティ」や、
チャック・ベリーChuck Berryの「メイベリーン」などが入ってます。


上のボックスセットと同じ曲が入っているような気もしますが、
まあ、多少の重複は大目に見てあげましょう。


BGMにすれば、気分はすっかりフィフティーズ。
これも、買って損はないと思いますよ。

ジャズ編その1へつづく


さて、きょうはこのへんにして、
つづきは次回ということにいたします。


(つづく)

*1:要するにアメリカ黒人の民謡みたいなものでしょう。

*2:彼の演奏は、上のふたつのボックスセットにも収められていますが、録音年代が同じでも、彼のサウンドだけがきわだって現代的に聞こえてきます。

*3:初期の白人ロックは、いま聴くとどうにも古くさく感じられます。