スクロヴァチェフスキの指揮に酔う

putchees2008-09-15


コンサート報告です


【今回のコンサート】
読売日本交響楽団第474回定期演奏会
9月10日(水)19:00〜
東京:サントリーホール


【曲目】
ブラームス交響曲第3番
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ショスタコーヴィチ交響曲第1番


【ミュージシャン】
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
ヴァイオリン独奏:アリヨーナ・バーエワ

85歳の巨匠


読響の演奏会に行ってきました。
2週間前にも、井上ミッチーの指揮を聴きに行ったばかり。
会場も同じサントリーホール


しかし、今回のコンサートは
ずいぶん違ったサウンドでした。


今回の指揮は、
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキStanislaw Skrowaczewski。
ポーランド生まれの巨匠だ。


彼の有名なブルックナー全集は、ぼくも持ってるよ。
しかし、ぼくはブルックナーが苦手なので、
これまでなんとなく敬遠していたのだ。


しかし、この日の演奏会を聴いて、
「なんでもっと早く聴きに行かなかったのだろう」と悔やんだね。


「もてない音楽」好きなら、彼のソリッドな指揮は
気に入ることまちがいなし。


それにしても彼はほんとうに85歳なのか?
かくしゃくとした歩みと身のこなし、
大曲を暗譜でこなす記憶力、
そして彼のタクトが生み出すエネルギッシュな音楽。


うわさ以上のすごいヤツだったよ。

メタボリックなプログラム


今回のプログラムは、
ブラームスシマノフスキ、そしてショスタコーヴィチ


なんて高カロリーのメニューなんだろう。


肉と油をふんだんに使ったメインディッシュが
3皿続けて出てくるみたいだ。


1曲目のブラームスだけでもうお腹いっぱいだよ。


ぜいたくといえば、こんなにぜいたくなプログラムはないね。


さてそのブラームスBrahms交響曲3番。
しょっぱなからエネルギッシュ。
あのメランコリックな第3楽章も
ハイテンションの最終楽章も、見事な出来。


ソリッドで明晰。
読響の弦も、ふだんよりよく鳴っているような気がしたよ。
(弦主体の曲だから当たり前か)


これだけでコンサートが終わったような気がしたけど、
気を取り直して後半の2曲。


シマノフスキSzymanowskiの
ヴァイオリン協奏曲1番は、ぼくの好きな作品だ。
1916年に書かれた無調の曲。


輪郭がそんなにはっきりしてない曲だけど、
大編成のオーケストラとヴァイオリンが美しく響き合っていたよ。


でもって、最後はショスタコーヴィチShostakovichの交響曲1番。
そんなに好きな曲じゃなかったんだけど、
実演だと印象が違うね。


めまぐるしく変わる曲調、気の利いたメロディ、
人を驚かせるサウンド
なんてモダンで知的な音楽だろう。


さすがショスタコーヴィチ
やっぱり面白い曲なんだね。


スクロヴァチェフスキは、
ブラームスに続いて、なんとこの曲も暗譜だったよ。


最後の最後でちょっとずっこけたけど、
読響の演奏もがんばってたよ。

スクロヴァチェフスキを聴くべし


きょうの客の入りは6割くらいかな?
でも、実に満足度の高いコンサートでした。


帰り道は、ブラームス3番の第4楽章を口ずさんでいたよ。


きょうのプログラムは、
実に男らしい、きっぱりして潔い音楽と演奏でした。


これはぜったいに女の子にはもてないね。


でも、ぼくらのような「もてない音楽」好きなら、
必聴でしょう。


読響は、よくぞこんな常任指揮者を呼んできたものだ。
彼が東京に定期的に来る間、ぼくはできる限りコンサートに
足を運ぼうと思ったよ。


みなさんもお試しあれ。