【祭禮】山下トリオ復活祭に行く!【祭禮】

putchees2009-07-19


今回はコンサート報告です


山下洋輔トリオ 復活祭」


日時:2009年7月19日(日)17:00〜19:15
場所:東京・日比谷野外音楽堂

ジャズ界の伝説がよみがえる!


1969年から1983年まで、
世界最高のジャズバンドのひとつであった
山下洋輔トリオ


結成40周年を記念して「山下トリオ復活祭」が
行われました。


トリオに所属した全員が集まるという
空前絶後のコンサートです。


山下洋輔のことは、
過去の記事で何度も書いてます*1


山下トリオに所属した、
坂田明や森山威男、小山彰太や林栄一のことも、
過去に何度も書いてます*2


大好きなんです。


だから行ってきました。
さっき帰ってきました。


最高でした


こういうときは、熱が冷める前に文字にしないと。


ソッコーでレポートします。

日比谷野音が満席!


場所は日比谷野外音楽堂
会場は満席。


お客さんは、40代以上のおっさんばかり


暑い。


でも天気がよくてよかった。


17:00スタート。


司会は相倉久人


ステージは、4部構成で、
山下トリオの第4期から第1期へとさかのぼる形式。


1セット30分ほどで、4セット行われました。

第4期山下トリオ


まず林栄一、小山彰太、山下洋輔がステージに。
80年代初期のメンバーです。


林栄一は好きなアルトサックス奏者ですが、
山下トリオにいたとは知らなかった。


うーん、やっぱり林栄一、すばらしい音だ。
ややつぶれたような、しかしスピード感のある、
鋭い音色。
まるでカミソリのようだ!


おや、小山彰太のドラムが、いつもより元気だ*3


山下洋輔のピアノも、いつもより精気がみなぎっている。


これはいいぞ。


80年代初期の「寿限無」あたりのサウンドがよみがえる感じ。


菊地成孔がゲスト参加


続いて、ベースの国仲勝男と
テナーサックスの菊地成孔がステージに。


菊地成孔は、故・武田和命の代理だそうな。


彼は、ファラオ・サンダースばりのアドリブを披露してくれました。
悪くなかったよ。


しかし、林栄一にくらべるとまだまだ。
年季が違うからね。*4


菊地成孔の音色は、輪郭がぼんやりしてて、
ほかの楽器にマスクされやすいかも。


フリージャズをやるなら、もっと音色を鍛えないとね。

第3期山下トリオ


さて、坂田明が登場。
ヨーロッパにもその名をとどろかせた
アルトサックスの巨人だ。


ドラムスは小山彰太、
そしてピアノの山下洋輔


きたーっ!


名曲「バンスリカーナ」。


1976年のモントルー・ジャズフェスで演奏された曲だ。


あれ?
坂田明、元気がないな。


いつもの、
色っぽく、太く、速い音色はどこへいったんだ。
うーん、残念。


しかし、小山彰太が飛ばす。飛ばす。
いつもジャズクラブで聴いてる小山彰太とはまるで別人


山下洋輔も、それに応じて張り切る。


おお、こっちもまるで別人だ。


名盤「モントルーアフターグロウ」を彷彿とさせる演奏だ!


ああ、でも演奏時間が短いのがさびしい。


さて、2曲目。


ああ!


アルバート・アイラー「ゴースト」だ。


これもモントルー・ジャズフェスでやったやつだ!


坂田明がマイクを持って、
「子猫子猫ネコの子〜!!」と絶叫する!


伝説のハナモゲラだ!


これが生で聴けるとは思わなかったよ。


もう、涙出そう。

第2期山下トリオ


休憩をはさんで、後半スタート。


会場が期待でざわめく。


黄金の第2期山下トリオがステージにあがる!


ドラムスの森山威男登場。


喝采


日本最高の、いや、世界最高のジャズドラマーだ。


そして坂田明山下洋輔がステージに。


70年代世界最高のジャズバンドのひとつが、
いま、ぼくたちの目の前に。


1曲目は「クレイ」。


超名曲。


しかし、坂田明の調子が悪くて、
テーマ部分でずっこける


うーん、残念。


しかし山下洋輔と森山威男の応酬はすごい。


森山威男はいつも通りすごいけど、
山下洋輔のこんなピアノは聴いたことがない。


いつもより多くヒジで叩いてます!(鍵盤を)


ああ、これこれ。
山下トリオの音だ。


このバンドは、
3人でひとつのサウンドを作っていたのだと実感する。


これぞグループダイナミズムなのだ。


2曲目は「キアズマ」。


こんな名曲ばかり、続けて生で聴いていいの?


もう、なんか、もったいないくらい、
すごいレパートリーだよ。


坂田明もようやく調子が出てきて、
3人で燃え上がる。


巨大な音のかたまりが、ステージの上で
むくむくとふくらんでいくのが目に見えるようだ。


この3人にしかできない音楽。


折しも、東の空に美しいが。


二重の虹(複虹)がキレイに、夕映えの空に架かってました。


まるで復活祭を祝福するようだったね。

第1期山下トリオ


最後は、トリオ結成当時のメンバーが登場。


テナー&ソプラノサックスの中村誠一登場。


この組み合わせで、生の演奏を聴けるとは思わなかったよ
(きょうはこればっかり)。


最初は「木喰」。


涙が出そうに美しいテーマを持った名曲。


中村誠一のソプラノがすばらしい。
なんと色っぽく、輪郭がはっきりとした音色だろう。


森山威男が、ブラシで美しいフレーズを叩く。
山下洋輔もそれに応じる。


40年前となんら変わらない音だ。


いや、むしろ、ミュージシャンとしての円熟味を増して、
昔よりいいサウンドを出しているのではないか知らん?


2曲目は「ミナのセカンドテーマ」。


山下トリオ、公式デビュー盤のタイトル曲。


中村誠一がテナーに持ち替えて演奏。


もう、昇天しそうな名演。


森山威男が、山下洋輔が、
ジャズの化身になって演奏する。


もう言葉になりません。

アンコールは全員で


アンコールでは、出演者全員がステージに上って、
「グガン」を演奏。


アルト対アルト、
テナー対テナー、
そしてドラムス対ドラムスで、
火の出るような応酬をやってくれました。


「グガン・グガン・ダパトトン・グガン・ダパトトン」
と3回繰り返して終わり。


観客総立ちで喝采


なにもいうことはありません。


すばらしいステージでした。


ステージの上のおっさんたちが、
まるで今日だけは30歳も若返ったように見えたのでした。

グループの力なんだ


山下洋輔トリオは、
日本が世界に誇っていい、
ジャズ界の至宝だということが
改めてわかりました。


ひとりひとりの力を重ね合わせて、
巨大な力を生み出すのが、グループでやる意義ってもんだ。


それを100%体現してたのが、彼らなんだな。


山下洋輔自身の演奏には、
最近感心したことがなかったけど、
それは、彼の力が必ずしも衰えたからじゃなくて、
このグループでやっていなかったからなんだ。


ぼくはそう思いました。


ぜひ、また、機会があれば、
このメンバーでやってほしいなぁ。


そんな風に思ったコンサートでした。


時間は予想より短かったけど、
100%満足できるステージでした。


行った人は、みんな満足したと思いますよ。


行けなかった人は、映像が見られるようですから、
そちらをお楽しみに。


しかし、こんな音楽を聴いていても、
女の子にはぜったいにもてません。

*1:過去の山下洋輔に関する記事についてはこちらを→http://d.hatena.ne.jp/putchees/searchdiary?word=%BB%B3%B2%BC%CD%CE%CA%E5&.submit=%B8%A1%BA%F7&type=detail

*2:過去の森山威男に関する記事はこちら→http://d.hatena.ne.jp/putchees/searchdiary?word=%BF%B9%BB%B3%B0%D2%C3%CB&.submit=%B8%A1%BA%F7&type=detail

*3:隣の席にいらしたご夫妻がおっしゃるには「トリオ参加当時の小山さんはすごかったのよ。疲れを知らない感じで、坂田さんや山下さんが疲れてても、ぜんぜん平気だったの!」だそうです!

*4:フリージャズは、年季が、わりとものをいう気がする。