セシル・テイラーの発掘音源を聴く!

putchees2009-08-26


今回のCD


セシル・テイラーCecil Taylor
「PIANO SOLO AT TOWN HALL 1971」
(欧・FREE FACTORY 062)

この偉人を聴け!


セシル・テイラーはエライ*1


セシル・テイラーはスゴイ。


ファンならみんな知っている。


しかし、ファン以外の人に伝わらないのがツライ。


なにしろ、フリージャズだ。


ピアノでハチャメチャだ。


ガンガンのギンギンのギャロンギャロンだ。


若い女の子が裸足で逃げ出す音楽だ。


もてたい男としては、これはツライ。


仕方ないから、ぼくたちは、こっそり隠れるように
セシル・テイラーを聴くことになる。


そうするとさらにファンが増えない。


悪循環だ。


それでもセシル・テイラーエライ


だからここで書くことにする。

音質なんて関係ない


セシル・テイラーは天才だ。


ジャズの世界で「芸術家」と呼ぶのにふさわしい、
ほとんど唯一の人物。
(もうひとりいるとすればマイルス・デイヴィスだけだ)


ユニークなスタイル。
気品あるサウンド
圧倒的なテンションとスリル。
炎のようなスピードとエネルギー。
そしてきらめくような美の輝き。


鍵盤の上を、指がでたらめに上下しているのではない。


濃密なオーケストラのような響き
瞬時に作り出しているのだ。


彼の演奏はほとんどすべて聴く価値がある。


とくに、ソロ・ピアノはどれも極上。


ジャズ好きなら、聴かずに済ませるなんて、
ああもったいない。


そんなセシル・テイラーの70年代の発掘音源が発売された。


1971年、ニューヨークのライブだ。


音は悪い。


まるで戦前のSPレコードだ。


それでも、彼のピアノは美しい。


音質のせいか、
まるで、戦前のクラシックの巨匠の歴史的録音のように聞こえるよ。


それほど格調高い響きなのだ。


演奏の内容は、まさにセシル・テイラー
70年代の彼は神懸かっている
聴いているうちに、音質なんてどうでもよくなって、
ぐいぐいと引き込まれてしまう。


これぞ一流の証し。


50分間を一気に聴き通してしまう。


これだけ長時間のピアノソロを、
退屈しないで聴き通せるジャズミュージシャンが、
いったい何人いるだろうか?


やっぱりセシル・テイラーはエライのだ。


このCDには、
おまけで、60年代のレア音源が入っているのもうれしい。


フリージャズファンならずとも、
ぜひ聴いていただきたい一枚。


ただ、セシル・テイラー初心者の方は、
音質のいい「インデントIndent」や
「サイレント・タンSilent Tongue」などを
最初に聴くことをおすすめします。


もちろん、こんなのを聴いていたら、
金輪際女の子にはもてませんから気をつけて。