マンゼのブラームスは最高!!
今回のCD
「ブラームス:交響曲全集(ヘルシングボリ響/マンゼ)」
BRAHMS, J.: Symphonies (Complete) (Andrew Manze, Helsingborg Symphony)
(独・CPO 777720-2)
ナクソスミュージックライブラリー http://ml.naxos.jp/album/777720-2
一風変わったブラームスだけど
ドイツのマニアックなレーベル、CPOから、なぜかブラームスの交響曲全集が出た。
(ふだんは誰もしらない作曲家の誰も知らない曲ばかり出しているのに)
指揮者はヴァイオリンのマンゼ。
オケはスウェーデンのヘルシンボリ響。*1
ジャケットも含めていかにも地味だなぁ。
でもいちおう聴いてみるか、と思って試してみたらびっくり。
こんなすばらしい演奏だとは思わなかった。
演奏自体は、ちょっと風変わり。
わりと軽くて、重量級という感じではない。
指揮者が古楽奏者だから、ピリオド奏法も取り入れているのかな?
オケ自体も小規模らしい。でも、そんなのよくわからないし、聴く分にはどっちでもいい。
とにかく、いい。
ブラームスの音楽の魅力を最大限引き出してくれるような演奏なんです。
たとえば1番の冒頭はかなり速いんだけど、弦の響きがすばらしくて、じゅうぶんな重量感。
3番の冒頭も、ものすごく速い。ほかの奏者だったら、おいおいよしてくれよ、と言うはず。
ところが、この演奏なら別にこういうのもありなんじゃないかと思ってしまう。
決して上滑りにならない。
速さが、音楽のよさを損なわない。
以前紹介したノリントンのブラームスみたいな、脂の抜けた音ではない。
そして、いままで気づかなかったような美点をつぎつぎとあらわにする。
きっと、ほかの演奏とアプローチが違うんだ。
ぼくは2番と4番をこんなに味わい深く聴いたのは初めてです。
4番の終楽章のワルツの悲痛な響きにはじーんときました。
弦がとにかくすばらしいけど、ティンパニや木管もいい。
やりたいことが明確で、奏者が一致してひとつの目標に向かっている感じがする。
ブラームスの演奏が、もしもこれしかなかったら困ってしまうだろうけど、いくつかのベストのうちのひとつには、まちがいなく挙げられると思います。
ここ数年で聴いたブラームスの全集の中では、確実にベストです。
あ、一緒に入ってる「ハイドン・ヴァリエーション」もすばらしかったです。
もしNaxos Music Libraryに入会しているのなら、これを聴かないのはもったいない。
そしてCDで買うにしても、きっと損はしないと思います。
もちろん、伝統的なブラームス演奏ではないと思うから、拒否反応を示す人も多いかもしれないですけど。
こんなすばらしいCDを出してくれたCPOとマンゼ、ヘルシンボリ響に感謝です。
ぜひこのメンバーで、ベートーヴェンの全集を聴いてみたいものだと思いました。
もちろん、ブラームスのシンフォニーなんて聴いてたら、女の子にはもてないよ!