ジョン・ケージはマジメな(?)作曲家

putchees2012-05-13


今回のアルバム


ケージ:プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード集(ぺシャ)
CAGE, J.: Sonatas and Interludes for Prepared Piano (Pescia)
(仏・aeon AECD1227)


ナクソスミュージックライブラリー)
http://ml.naxos.jp/album/AECD1227

モテるかモテないか


きのうのブログを読んだ友だちが「モテなくても、本当に好きな人とつきあえたらいいじゃないですか」と言ってくれました。


なるほど。


…でも待てよ、それって、不特定多数にモテるよりムツカシイんじゃないでしょうか?


少なくともわたしは、そんな幸福な体験は、ついぞ記憶にないですよ。


あと、女性と男性は違うのかも。
男はモテたいんですよ。いくつになっても。存在証明みたいなものなんです。


ええバカですとも。That's because I'm a man.


閑話休題

ケージの不幸


さて今回はジョン・ケージJohn Cageです。


彼はすばらしい作曲家だと思うのですが、例の4分33秒のせいで、まともな作曲家だと思われていないフシがあります。


それは不幸なことです。


つまらん曲も多いけど、いい曲もたくさん書いてます。


以前も紹介したけどプリペアドピアノのための作品集は、ぼく、大好きなんです。


ピアノという楽器が、彼の創意によって新しい楽器に生まれ変わったのです。


弦に異物をはさむという作業(プリパレーション)によって、音色がぜんぜん変わるわけです。


ピアノというのは、いかほどか押しつけがましい楽器であると思ってます。


音はでかいし、同時にたくさんの音を鳴らせるし、つまりは存在感がありすぎる

それが、プリパレーションによって、おとなしくなる
不自由にすることによって、新たな魅力が生まれるって訳です。


これはじっさい聴いてもらわないとわからないのですが、ノイズというか、非整数倍音が加わることで、豊かで味わいのある音色になるんですよ。


非整数倍音を愛するわれら日本人にとっては、とりわけ印象深いのかもしれない。


もちろん、プリパレーションの具合によって、ぜんぜん音色が変わってしまう。
そこがピアニストの腕の見せどころでもあるようです。


このアルバムのピアニスト、ペシャの腕前はすごくいい。
なんとも微妙かつ精妙な音色であります。


名曲がいっそうひきたちます。


神秘的にして哀切


「ピアノの弦に消しゴムとかをはさむんだよ」と説明すると「そんなの音楽じゃない!」なんて言う方がいるかもしれません。
でも、それはぜんぜん違う。


純粋に音楽的な技法なんです。
もしも、非音楽的な前衛だと思われているなら、それはひどい誤解だ。
これ聴かないのはホントもったいない。


誤解された大作曲家、ケージの傑作、ぜひいちどお試しください。


ただもちろん、こんなもの聴いてたらモテないよ。