ジョン・ケージはマジメな(?)作曲家
今回のアルバム
ケージ:プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード集(ぺシャ)
CAGE, J.: Sonatas and Interludes for Prepared Piano (Pescia)
(仏・aeon AECD1227)
(ナクソスミュージックライブラリー)
http://ml.naxos.jp/album/AECD1227
モテるかモテないか
きのうのブログを読んだ友だちが「モテなくても、本当に好きな人とつきあえたらいいじゃないですか」と言ってくれました。
なるほど。
…でも待てよ、それって、不特定多数にモテるよりムツカシイんじゃないでしょうか?
少なくともわたしは、そんな幸福な体験は、ついぞ記憶にないですよ。
あと、女性と男性は違うのかも。
男はモテたいんですよ。いくつになっても。存在証明みたいなものなんです。
ええバカですとも。That's because I'm a man.
閑話休題。
ケージの不幸
彼はすばらしい作曲家だと思うのですが、例の「4分33秒」のせいで、まともな作曲家だと思われていないフシがあります。
それは不幸なことです。
つまらん曲も多いけど、いい曲もたくさん書いてます。
以前も紹介したけど、プリペアドピアノのための作品集は、ぼく、大好きなんです。
ピアノという楽器が、彼の創意によって新しい楽器に生まれ変わったのです。
弦に異物をはさむという作業(プリパレーション)によって、音色がぜんぜん変わるわけです。
ピアノというのは、いかほどか押しつけがましい楽器であると思ってます。
音はでかいし、同時にたくさんの音を鳴らせるし、つまりは存在感がありすぎる。
それが、プリパレーションによって、おとなしくなる。
不自由にすることによって、新たな魅力が生まれるって訳です。
これはじっさい聴いてもらわないとわからないのですが、ノイズというか、非整数倍音が加わることで、豊かで味わいのある音色になるんですよ。
非整数倍音を愛するわれら日本人にとっては、とりわけ印象深いのかもしれない。
もちろん、プリパレーションの具合によって、ぜんぜん音色が変わってしまう。
そこがピアニストの腕の見せどころでもあるようです。
このアルバムのピアニスト、ペシャの腕前はすごくいい。
なんとも微妙かつ精妙な音色であります。
名曲がいっそうひきたちます。
神秘的にして哀切。
「ピアノの弦に消しゴムとかをはさむんだよ」と説明すると「そんなの音楽じゃない!」なんて言う方がいるかもしれません。
でも、それはぜんぜん違う。
純粋に音楽的な技法なんです。
もしも、非音楽的な前衛だと思われているなら、それはひどい誤解だ。
これ聴かないのはホントもったいない。
誤解された大作曲家、ケージの傑作、ぜひいちどお試しください。
ただもちろん、こんなもの聴いてたらモテないよ。