合衆国のちゃらんぽらんなピアノ曲を聴く
今回のアルバム
「ジュフスキー:不屈の民」
RZEWSKI: The People United will never be Defeated
(香港、ナクソス8.559360)
ラルフ・ファン・ラートRalph van Raat(ピアノ)
(ナクソスミュージックライブラリー)
http://ml.naxos.jp/album/8.559360
「若い国」の音楽
フレデリック・ジェフスキーFrederic Rzewski(1938-)という作曲家のことはまったく知りませんでした。
合衆国の作曲家なんですね。
ピアニスト、ファン・ラートは、ナクソスで現代音楽のいい演奏をしているので、とりあえず聴いてみました。
「不屈の民」は60分にわたる変奏曲。それなりに有名な曲らしいです。
けっこう面白い。
でも、あまりに多様でちゃらんぽらん。
帯の解説には「無調、ミニマル、ジャズ、超絶技巧とありとあらゆる語法を駆使」とあるけど、まさにそんな感じ。
ひとつのまとまった印象を受けることはムツカシイ。
シュニトケだとかミヨーも多様でちゃらんぽらんと言われることがあるけど、それとは質が違う。
合衆国っぽい「ちゃらんぽらん」ぶりだなと思った。
つまり洗練されていなくて、粗野な音楽。
作り込まれる前に、投げ出されたような。
言い換えるなら「若い」「青い」という印象。
作曲家自身がこの作品を書いたとき若かったかどうかという問題ではないですよ。
地政学者のジョージ・フリードマンは「合衆国の本質は若さだ。だから合衆国の行動は青年のように粗野で洗練されないのだ」みたいなことを書いてた。
彼が書いてたのは政治についてだけど、文化についてもそれは言えるよな、と思う。
フィリップ・グラスのミニマル音楽とか、アメリカのクラシックは、たいがい、決して洗練されてないよね。
若い、青いと感じるんです。
この曲も、ぜんぜん洗練されていなくて、若いなあと感じる。
作曲家が意図したかどうかはともかく、合衆国っぽい。
それゆえの面白さというのはもちろんあるので、聴くのは楽しいんですよ。
やっぱり国ごとの個性というのはあるんだろうなと思います。
あと数百年たったら、合衆国のクラシックも、ヨーロッパのようにもったいぶった雰囲気を持つようになるのでしょうか。
それはよくわからないなあ。
はっきりしてるのは、こんな音楽を聴いてても、もてないってことだね。