ジューイッシュ(ユダヤ的)ジャズを聴け!
昔はハードコアの旗手(?)でした。
東京・高円寺の安アパートに居を構えていたこともある
アメリカのアルトサックス奏者、
ジョン・ゾーンJohn Zorn率いるジャズカルテット、
マサダMASADAのライブDVD
「MASADA LIVE AT TONIC 1999」(TZADIK)
が素晴らしいです。
99年のニューヨークでのステージです。
映像を見る限りでは小さなライブハウスです。
メンバーは以下の通り。
- ジョン・ゾーンJohn Zorn(アルトサックスas)
- デイヴ・ダグラスDave Douglas(トランペットtp)
- グレッグ・コーエンGreg Cohen(ベースb)
- ジョーイ・バロンJoey Boron(ドラムスds)
この演奏、最っ高です!
艶やかで破壊的なサックスがブリブリバリバリ疾走します。
うおー、スタジオ録音より断然いいじゃん!
ジョン・ゾーンって、
こんなにいいサックス奏者だったんだなー*1と感心しきりです。
(ファンは昔から知っていたのでしょう。不勉強を恥じるのみ)
ユダヤ系ジャズとは?
…その昔、ネイキッド・シティNaked Cityや
ペインキラーPain Killerなどのころは、
彼の音楽は作り物めいた印象だったのですが、
このマサダ(すでに活動開始して11年になる)の音楽には、
血が通っています。
シンプルな編成で、アドリブの真髄を聴かせてくれます。
このバンドが面白いのは、
それまで誰も聴いたことがなかった
「ユダヤ系ジャズ」っていうものを発明したことです。
アメリカ系黒人のジャズではなく、
アングロサクソンやゲルマン人のジャズでもない。
まったく独自のジャズのスタイルです。
中東っぽい音階とリズムで、
熱狂的なアドリブを聴かせてくれます。
サックスとトランペットが、まるであちらの民族楽器のように聞こえてきます。
あるいは、アシュケナージム*2たちのクレツマーKlezmerバンドのように響きます。
ジョン・ゾーンってユダヤ系なんですよね?
彼の血が作る音楽だから、
こんなに説得力があるんだと思います。
自己(の血)に忠実であれば、いいものができる、そういうことですね。
それにしても、ジョン・ゾーンのアルトのフレーズは、
ときおりオーネット・コールマンそのまんまだ*3…。
ジャズの真髄を聴きたいという人がいれば、
ぜひこのDVDを買ってみてください。
ただ、ツァディック*4のCDはショップでは、
ジャズじゃなくて、
アヴァンギャルドとか、アヴァンポップとか、
そういうジャンルの棚に置いてあることがあるので注意してください。
いうまでもないことですが、こんなものを聴いていても、
女の子にはぜったいにもてません。
(この文章は、以下のURLに2004年11月24日に掲載されたものの改訂版です)
http://putchees.m78.com/newsanddiary.html