2005-01-01から1年間の記事一覧

これまでの本レビューの記事一覧

過去のレビューのまとめです この不人気ブログ 「女にもてないCDレビュー」を 読んでいただきありがとうございます。 始めてから一年が経ちました。 これまで続けてこられたのも、 数少ない読者のみなさまの励ましのおかげです。 いつも感謝しております。 …

日本作曲界の巨星・早坂文雄の悲痛なピアノ協奏曲を聴け!(その4)

その3よりつづき 50年前に41歳で亡くなった 作曲家・早坂文雄 (はやさか・ふみお1914〜1955) のオーケストラ作品集をご紹介しています。 早坂文雄は、黒澤明の映画音楽で有名ですが、 実はクラシック系の日本人作曲家として、 明治以降でもっとも重要なひ…

日本作曲界の巨星・早坂文雄の悲痛なピアノ協奏曲を聴け!(その3)

その2よりつづき 昭和のはじめに活躍したクラシック系の 作曲家・早坂文雄(はやさか・ふみお1914〜1955) のCDを紹介しています。 今回の写真は彼のポートレートです。 彼の名前を知らなくても、 黒澤明の「七人の侍」や溝口健二の「雨月物語」 の音楽を担…

日本作曲界の巨星・早坂文雄の悲痛なピアノ協奏曲を聴け!(その2)

その1よりつづき 香港のナクソスNaxosレーベルが出している、 なんと一枚1000円という日本人作曲家の 作品集、「日本作曲家選輯(せんしゅう)」は、 一枚ごとに大きな話題を集めています。 今回はその最新盤のお話をしています。 黒澤明「七人の侍」の音楽…

日本作曲界の巨星・早坂文雄の悲痛なピアノ協奏曲を聴け!(その1)

今回のレビューについて 今回は日本のクラシック(近代音楽) についてのレビューです。 日本の音楽史に大きな足跡を残した作曲家の 音楽を4回にわたってご紹介します。 日本人作曲家の曲なんて聴きたくない、という人の 気持ちもわかりますが、音楽の内容…

あがた森魚の傑作「バンドネオンの豹」を聴こう!

オレは下流なのか! 最近話題の本「下流社会」 (三浦展著 光文社新書)を読みました。 扇情的な、広告やオビの惹句と違って、 ごく穏健なマーケティングの本でした。 ぼくはこの本をたいへん面白く読みました*1。 ぼんやりそうだろうと思っていたことが、 …

戦前のアヴァンギャルド・伊藤昇のオーケストラ曲を聴く!(その5)

その4よりつづき 1930年に日本で作られた、 アヴァンギャルド音楽をご紹介しています。 伊藤昇という作曲家の 「マドロスの悲哀への感覚」というオーケストラ曲です。 当時のヨーロッパの最新音楽と肩を張るような 前衛的な手法が用いられていました。 この…

戦前のアヴァンギャルド・伊藤昇のオーケストラ曲を聴く!(その4)

その3よりつづき 1930年に日本で作られた、びっくりするような アヴァンギャルド音楽をご紹介しています。 伊藤昇という作曲家の 「マドロスの悲哀への感覚」という妙ちきりんな タイトルのオーケストラ曲です。 この曲の演奏会に行ってきたのですが、 タイ…

戦前のアヴァンギャルド・伊藤昇のオーケストラ曲を聴く!(その3)

その2よりつづき 昭和のはじめの日本で、 びっくりするようなアヴァンギャルド音楽が 作られていました。 伊藤昇(いとう・のぼる1903〜1993)という作曲家の 「マドロスの悲哀への感覚」(1928)という曲です。 おそらく誰も知らない作品ですが*1、とても…

戦前のアヴァンギャルド・伊藤昇のオーケストラ曲を聴く!(その2)

その1よりつづき 日本の忘れられた名曲(珍曲?)を発掘して 演奏している意欲的なアマチュアオーケストラ、 オーケストラ・ニッポニカの演奏会のレポートを 書いています。 昭和初期に作られた、強烈にアヴァンギャルドな 伊藤昇のオーケストラ曲を中心に…

戦前のアヴァンギャルド・伊藤昇のオーケストラ曲を聴く!(その1)

ご隠居と熊さん 「いやーご隠居、あっしァすっかりびっくりしましたよ」 「なんだい熊さんやぶから棒に」 「いえね、この間オーケストラを聴いてきたんですけどね」 「お前さん、ばかにしゃれたもの聴くじゃないか。 なんだね、モーツァルトかベートーヴェン…

ユダヤ系ジャズの超絶グループ・ダブカを聴け!(後編)

前編よりつづき ジョン・ゾーンJohn Zornが主宰する ツァディックTzadikレーベルからリリースされている ダブカDavkaというバンドのライブ盤について書いています。 ユダヤの民族音楽(クレズマーなど)と ジャズをまぜたようなサウンドが、たいへんユニーク…

ユダヤ系ジャズの超絶グループ・ダブカを聴け!(前編)

今回のCD ダブカDavka 「ダブカ ライブDavka Live」 (2005年 合衆国・Tzadik8104) 曲目 1.Road to Sfat 2.Bactrian 3.MNT II 4.Darka 5.Zehngut Doina and Behusher Khosidl 6.Needle of Light 7.Yo Semite 8.Horafived 9.Jumping on The Five / Seven Cor…

これぞフリージャズ! のなか悟空の爆裂ドラムを聴け!(後編)

前回よりつづき 爆音フリージャズドラマー・のなか悟空の ライブ報告を書いています。 まったく女の子にもてない音楽ですが、 そういうことを気にしなければ、たいへん気持ちいい音です。 興味のある方は、前編からお読みください。 →id:putchees:20051104 …

これぞフリージャズ! のなか悟空の爆裂ドラムを聴け!(前編)

今回はライブ報告です のなか悟空&人間国宝 場所:新宿ピットインPIT INN 日時:2005年11月2日 20:10〜22:20 ミュージシャン のなか悟空(のなか・ごくう)(ドラムスds) 近藤直司(こんどう・なおじ)(サックスss, ts, bs) ヒゴヒロシ(ベースb) 今回…

ショパンがどうした!ピアノの隠れた名曲を聴こう!

今日はまともな曲をご紹介します いつも、一般の人が裸足で逃げ出すような 音楽ばかり紹介しているので、たまには おしゃれですてきな音楽をご紹介しましょう。 ただ、マイナーで「もてない音楽」という ことは、いつもと同じです。 本日のCD イベール ピア…

伊福部昭の交響組曲「わんぱく王子の大蛇退治」を聴け!(後編)

(前編よりつづき) 東映動画が製作した初期の 劇場用アニメーション 「わんぱく王子の大蛇退治」(1963)の 音楽を担当した伊福部昭によるオーケストラ曲 「交響組曲・わんぱく王子の大蛇退治」(2003)の お話をしています。 興味のある方は、前編からお読…

伊福部昭の交響組曲「わんぱく王子の大蛇退治」を聴け!(前編)

ピクサーとスタジオジブリ 2005年現在、世界最高の アニメーションスタジオは、間違いなく、 アメリカのピクサーPixar Animation Studiosと 日本のスタジオジブリでしょう。 前者は「トイ・ストーリーTOY STORY」(1995)で 名を上げた天才・ジョン・ラセタ…

「もてないうた」早川義夫の心に沁みる歌声を聴け!

バカなアマチュアバンド 数年前まで、ぼくはプッチーズThe Putcheesという アマチュアバンドで、メンバー共通の友人である、 ひとりのもてない男性をモチーフにした歌を 次から次に作っていました。 その人がもてなくて、 オナニーばかりしているっていう歌…

衝撃!山田耕筰の秘曲「長唄交響曲 鶴亀」を聴く!(後編)

前編よりつづき 池袋西口の東京芸術劇場で行われた、 山田耕筰のオーケストラ作品演奏会のお話をしています。 もしよろしければ、前編からお読みください。 前編はこちら→id:putchees:20051016 ひきつづきコンサート報告です 山田耕筰の遺産〜「日本の交響楽…

衝撃!山田耕筰の秘曲「長唄交響曲 鶴亀」を聴く!(前編)

本日はコンサート報告です 山田耕筰の遺産〜「日本の交響楽を求めて」 日時:10月15日(土)15:00〜17:00 会場:東京芸術劇場(池袋) ミュージシャン 管弦楽:東京都交響楽団 長唄:東音会 指揮:湯浅卓雄(ゆあさ・たくお) 長唄:東音宮田哲男 他 三味線…

横浜ジャズプロムナードで板橋文夫を聴く!

今回はコンサート報告です 横浜ジャズプロムナード2005 10月9日(日)横浜・関内大ホール会場 ●17:30〜19:00 板橋文夫セッション「秋月夜スペシャル」 (ミュージシャン) 板橋文夫(p)、太田恵資(vln)、 外山明、翁長巳酉(以上per)、 竹澤悦子(箏・三味線・…

武満徹の雅楽「秋庭歌一具」を聴く!

今回はコンサート報告です 伶楽舎第七回雅楽演奏会〜伶倫楽遊〜 (伶楽舎創立20周年記念 武満徹生誕75周年記念) 日時:2005年10月2日(日)14:00〜16:00 場所:東京赤坂・サントリーホール(大ホール) 曲目 第1部:芝祐靖作曲『瑞霞苑』 第2部:武満徹作曲…

敗戦60年、苦悩する日本人の交響曲を聴け!

今回のCD 「日本作曲家選輯 諸井三郎」 (ナクソスNaxos 8.557162J) 曲目 ●こどものための小交響曲(1943) Sinfonietta in B flat major Op.24, "For Children" ●交響的二楽章(1942) Symphonic Movements Op.22 ●交響曲第3番(1944) Symphony No.3 Op. 25 (…

ケニー・ドーハムの枯れたトランペットを聴け!(後編)

今回のCD トランペット・トッカータTROMPETA TOCCATA ケニー・ドーハムKenny Dorham (BLUE NOTE 1964 BLP 4181) ミュージシャン ケニー・ドーハムKenny Dorham(トランペットtrumpet) ジョー・ヘンダーソンJoe Henderson(テナーサックスtenor Sax) トミ…

ケニー・ドーハムの枯れたトランペットを聴け!(前編)

今回のCD トランペット・トッカータTROMPETA TOCCATA ケニー・ドーハムKenny Dorham (BLUE NOTE 1964 BLP 4181) ミュージシャン ケニー・ドーハムKenny Dorham(トランペットtrumpet) ジョー・ヘンダーソンJoe Henderson(テナーサックスtenor Sax) トミ…

ブラジルの青春野郎、ロー・ボルジェスを聴け!

今回のCD 「ソーニョ・レアルSonho Real」 ロー・ボルジェスLo Borges (1984/2001dubas) 曲目 1. Tempestade 2. Sonho Real 3. Nenhum Misterio 4. Vagas Estrelas 5. Bom Sinal 6. Um Raio De Sol 7. Feliz Aniversario 8. Arma Branca 9. Voce Fica Melh…

古代アジア神秘の楽器、笙のサウンドに酔う!(後編)

雅楽のコンサート報告です (前編よりつづき) 雅楽演奏グループ、伶楽舎によるレクチャーコンサートの レポートを書いています。 1200年前から伝わる神秘的な音色の楽器・ 笙(しょう)にスポットライトを当てたコンサートです。 よかったら前編から読んで…

古代アジア神秘の楽器、笙のサウンドに酔う!(前編)

興味のない人もためしにどうぞ この手の音楽レビューというのは、 自分が興味のないジャンルだと、 まず読まないものです。 対象となる音楽のことを知らないで 文章だけ読んでも、つまんないですからね。 音楽評には自律性がありません。 単独では生きられな…

豪華絢爛!メシアンのトゥランガリラ交響曲を聴く!(後編)

クラシックのコンサートレビューです (前編よりつづき) 前編から時間があいてしまいましたが、 東京都交響楽団のコンサートレビューのつづきです。 超個性派指揮者、井上道義が、 フランス孤高の作曲家、メシアンOlivier Messiaenの大作 「トゥランガリラ…