世界最強のジャズオーケストラ、渋さ知らズを聴け！
今回のCD
歌って踊れるフリージャズオーケストラ
渋さ知らズというバンドをご存じでしょうか。
リーダー（指揮）は不破大輔というベーシスト、
ホーンが10人くらいにリズム隊、ヴァイオリンや
ときどき怪しいパンフルート奏者なんかが加わっています。
バンドの周りでは、ダンサー（暗黒舞踏を含む）が音楽に合わせて
（合っていないときもある）踊りまくっています。
ジャンルは基本的にフリージャズなのですが、
曲自体がたいへん単純明快なので、難解ではありません。
なにより踊れるグルーヴが強烈なので、
フリージャズを聴いていると意識させません。
結成されて15年ほどになります。
主に東京を中心に活動していますが、
ドイツをはじめ、欧州でも人気があります。
最近は「フジロック」に連続出演しているから、
以前のようなアングラバンドではなくなってきました*1。
普段ロックやテクノを聴いてる若い子が
渋さを聴いて踊りまくっています。
たいへん健全なことかと思います。
ユニゾンで吹くテーマがすばらしい！
以前、渋さ知らズのことを
「ホーンがみんなユニゾンでテーマを吹いてバカみたい」
とけなしている人がいたのですが、
ぼくはそれを聞いて、
「ユニゾンだからすばらしいのじゃ、バカタレ」
と思ったのでした。
ユニゾンほどすばらしい和音はありません。
あれで妙なハーモニーを付けたら、フヌケの
「熱帯ジャズ楽団」みたいになってしまうではありませんか。
渋さ知らズのメンバーは全員すばらしい音色の持ち主ですし、
せーので一斉にテーマを吹けば、
それだけで観衆を熱狂させる力があるのです。
以前、オーネット・コールマンの稿で書いたように、
ジャズは（音楽全般といってもいいけど）
音色がすべてですから、
すばらしい音色を獲得したミュージシャンは、
もう小手先の技術に頼らなくてよいのです。
そういった個性的な音色の持ち主が
20人くらい集まってるわけですから、
バンド自体もすばらしい音色を持つことになるわけです。
バンドは「サウンド」がすべてだ
「音色」を「サウンド」と言い換えてもいいでしょう。
よいバンドの条件は、ジャンルを問わず、
よいサウンドを持つことです。
多くのアマチュアバンドの音楽がつまらないのは、
個性的な「サウンド」がないからです
（テクニックはあんまり関係ない）。
現時点の最新盤「渋星」
さて、そんな泣く子も黙る世界最高のジャズオーケストラ
「渋さ知らズ」を聴いたことがないという人は、
いますぐライブにいくべきなのですが、
不幸にしてライブにいけないという人は、
CDを買ってみてください。
現時点で、地底レコードから出ている最新盤は
「渋星」です。
このCDのクライマックスは、
なんといってもサン・ラSun Raの名曲
「Space is the Place」です。
オリジナルのスペースサウンド（？）が、
分厚いブラスサウンドに生まれ変わってます
メンバーのソロも相変わらず冴え渡って、
渋さのCD史上に残る名演と言えるでしょう。
「Images」も、サン・ラのオリジナルに負けない佳演です。
ほかにも、ライブで聴くと涙が出そうになる
名曲「Naadam」（作曲はアルトサックス奏者の林栄一）、
そしていつもライブの掉尾を飾る
「本多工務店のテーマ」（作曲はリーダーの不破大輔）*2も加わって、
すばらしい内容です。
重要なおまけとして、このCDには、
サン・ラ・アーケストラSun Ra Arkestraの重要メンバー、
マーシャル・アレンMarshall Allen（アルトサックス）が
レコーディングに参加しています。
みんな、迷わず聴くのだ！
ただし、こんなCDを聴いていても、フツーの女の子には
気味悪がられるだけでぜったいにもてませんから悪しからず。
（この文章は、以下のURLに2004年1月31日と2月1日に掲載したものを改訂しています）
http://putchees.m78.com/newsanddiary.html
