ベルクのヴァイオリン協奏曲を聴く

putchees2008-11-03


コンサート報告です


新日本フィル439回定期演奏会
(2008年11月2日15:00-:すみだトリフォニーホール


【曲目】
クルターク:石碑op.33(1994)
ベルク:ヴァイオリン協奏曲
武満徹:映画『黒い雨』より弦楽オーケストラのための死と再生
マーラー交響曲第10番 嬰へ長調アダージョ


指揮:クリスティアン・アルミンク
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト
管弦楽新日本フィルハーモニー交響楽団

マジメな指揮者


新日本フィルの定期に行ってきました。
指揮はアルミンク。


1971年3月生まれというから、
ぼくと同世代。


だから、なんとなく親近感を持ってるんだ。


彼の指揮を見るのは、
火刑台のジャンヌ・ダルク」を聴きに行って以来だ。


さて、今回のプログラムは、たいへん地味
というか、暗い
秋の行楽日和の午後にやるプログラムとしては、あまりに挑戦的。


でも、どれも生で聴くのは初めての曲ばかりなので、
楽しみに出かけましたよ。


演奏の前にアルミンクの解説があったよ。
丁寧に説明するのを聴いて、ああ、マジメな人なんだなと思った。


彼のマジメさは、新日本フィルの最近のプログラムを
見ていればわかる。


有名曲の前に、必ずゲンダイオンガクを組み込んでいる。


難解なゲージュツ音楽を、
東京の聴衆に親しませようとしているんだな。


彼の青臭い情熱が伝わってきて、
なんだか気恥ずかしいくらいだ。


でも、純粋なのは悪いことじゃないよ。


おかげで、オケの向かっていく方向が
聴衆にはっきりとわかるもんね。


そういう、方針の明確なオケって、
東京では新日本フィルくらいだもん。


アルミンクに舵取りを任せてる新日本フィル
偉いと思うよ。

クラシック最後の傑作?


さて、演奏だ。


どれも生で聴くのは初めてだから、
演奏の質については批評しませんよ。


クルタークは、ルーマニア生まれの作曲家だそうな。


「石碑」って曲は、なんと5管編成超の大オーケストラだった。
でも、大音量になるところは少なくて、全体に低カロリーの音楽だったね。


内容は、まあゲンダイオンガクだね。
もう一度聴きたいかと問われたら、NOと即答って感じの曲でした。


次はアルバン・ベルクのヴァイオリン協奏曲。
ヴァイオリン独奏はイザベル・ファウストだ。


演奏の質はともかく、
生で聴いて、やっぱり面白かった。


うーん、この曲は、西洋クラシック音楽の伝統が生んだ
最後の傑作かもしれないね。


クラシック音楽というのは、事実上
この曲の誕生とともに死んだのかもしれない。


このあとに作られたヴァイオリン協奏曲は、
悪あがきか、開き直りか、どっちかでしかないって気がする。


そんなことを考えたよ。


後半はタケミツだ。
「死と再生」は、小アンサンブルによる演奏。


悪くない曲だったけど、やっぱり低カロリーの音楽。
トコロテンでも食べてるみたいで、
ぼくには面白くなかったよ。


最後はマーラーの10番、アダージョだ。


これも初めて生で聴いたから、演奏の質はともかく、
面白く聴けましたよ。


やっぱり名演のCDを10回聴くより、
生のオケで1回聴く方がいいよね。


さて、ベルクもマーラーも、
ウィーンで活躍した作曲家。


アルミンクはウィーン生まれだそうだから、
ぴったりかもね。


きょうの客席は空席が目立ったけど、
いいプログラムだったと思う。
こんな曲目を組むのは勇気がいると思う。
これからもがんばってほしいよ。


ただ、こんな曲目じゃあ、
女の子にはもてないんだなぁ。