1950年代日本のオーケストラ曲を聴く

putchees2008-12-09


今回はコンサート報告です


【今回のコンサート】
オーケストラ・ニッポニカ 第14回演奏会
「日本の交響作品撰集 その3 〜東京交響楽団の1950年代〜」


日時:2008年11月30日(日) 14:30開演(14:00開場)
会場:四谷・紀尾井ホール


【曲目】
池野 成:ダンス・コンセルタント(1953)
入野義朗:小管弦楽のためのシンフォニエッタ(1953)
篠原眞:ロンド(1953)
間宮芳生交響曲(1955)
林光:交響曲ト調(1953)


【ミュージシャン】
指揮:本名徹次
管弦楽:オーケストラ・ニッポニカ

日本人作品だけのコンサート


オーケストラ・ニッポニカの演奏会に行ってきましたよ。
半年に一回のお楽しみイベントです。


彼らは、日本の知られざる名曲を発掘演奏している
志の高いすばらしい楽団だ。


今回のプログラムは1950年代の日本のオーケストラ曲特集。


一度も聴いたことのない曲ばかりだから楽しみだ。


会場は四谷の紀尾井ホール
空席もあったけど、熱心なファンがたくさん来てました。
いつか、この会場がぎっしり満席になってもらいたい。

池野 成:ダンス・コンセルタント


さて、1曲目は池野成の曲。
伊福部昭の高弟だ。


彼の曲を聴くのは初めてだったけど、
バイタリティあふれる曲でびっくりした。
ちょっとストラヴィンスキーふう。


伊福部昭のように五音音階は使ってなかったから、
民族的な臭いが消えて、やや抽象的な響き。
伊福部昭が日本酒(醸造酒)とすれば、
この曲は焼酎(蒸留酒)か。


この曲はちょっと長すぎたけど、
ほかの曲も聴いてみたいと思いました。


そういえば、会場には和田薫など、
伊福部〜池野門下の作曲家も訪れていたようです。

入野義朗:小管弦楽のためのシンフォニエッタ


入野義朗は、名前だけは知ってるんだ。
「日本で最初に十二音技法を使った作曲家」ってことで。


どんな曲だろう?


おお、なかなか聴きやすい。
知的な響きだね。


退屈はしなかったけど、
残念ながら、ちょっと眠くなっちゃったよ。

篠原眞:ロンド


篠原眞も、名前しか知らなかった人だ。
この曲は、フランス風のしゃれた小品だった。


橋本國彦や池内友次郎といった、東京音楽学校
フランス系の響きを受け継ぐ音楽だと思ったね。


もっとも、この作曲家はこのあと渡欧して、
前衛音楽ばっかり作るようになるらしい。


とすると、この傾向の作品は多くなさそうです。


会場には作曲家自身が来ていて、
さかんに拍手を浴びてたよ。

間宮芳生交響曲


休憩をはさんで、間宮芳生だ。
この人の曲はわりと好きなんだ。


民謡ふうの素朴なメロディと
厳しい響きがからみあうところは、
バルトークふうで面白かったよ。


ただ、交響曲というわりには短かったのが、
やや食い足りない感がありました。

林光:交響曲ト調(1953)


最後は林光のシンフォニーだ。


この曲、以前に片山杜秀
ソ連流の社会主義リアリズム」の名作と紹介していたから、
楽しみにしてたんだ。


たしかに、明朗でキビキビとした響きはそれっぽい。


でも、同じ傾向の
芥川也寸志のシンフォニーあたりと比べると、
ややエネルギー不足って感じ。


ましてや、
ショスタコーヴィチプロコフィエフなんかと比べると、
いかにも低カロリー音楽。


日本の民謡の旋律なんかも出てきて面白いんだけど、
民衆のエネルギー爆発って感じはしなかった。


いちばん印象的だったのは、冒頭の弦のメロディで、
とてもリリカルで、作曲者の本来の資質は
そこにあるんだろうと思わされました。

来年は芥川イヤー


さて、そんなコンサートでした。
今回もお腹いっぱい。


日本のオーケストラ音楽をこれだけ
いちどに楽しめるコンサートなんて、
めったにないもんね。


オーケストラ・ニッポニカは
ほんとうにすばらしい楽団だと、
今回もしみじみ思ったのでした。


来年は、芥川也寸志没後20年ということで、
彼の名曲をたくさん再演してくれるようです。


たいへん楽しみです。


次回以降もすばらしい演奏をしてくれることでしょう。
みんなでオーケストラ・ニッポニカを応援しよう!


ただ、こういう音楽を聴いていたら、
女の子にはぜったいにもてないけどね。