忘れられた未来派、ロスラヴェッツを聴く

putchees2010-02-11


今回のCD

ロスラヴェッツ「ヴァイオリンソナタ集」
ROSLAVETS「Violin Sonatas Nos.1,4 and 6/3 Dances」
NAXOS 8.557903)


ソロミア・ソロカSolomia Soroka (ヴァイオリン)
アーサー・グリーンArthur Greene (ピアノ)

うねるような音楽


ナクソス・ミュージック・ライブラリーで、
また面白いのを見つけちゃった。


旧ソ連初期の作曲家、
ロスラヴェッツ


1880年ウクライナ生まれで、20年代ソビエト連邦
未来派の運動を担ったひとりらしい。


彼は6つの音からなる和音などを創案し、
新しい調性のありようを探っていたらしい。


しかし、モダンすぎて政府から目を付けられ、
モソロフのようなラーゲリ送りはまぬがれるものの、
作曲家としてはほとんど活動できないままに44年に死んだそうだ。


彼の作品に日が当たるようになるのは、
ソビエト崩壊以後だったそうだ。


このCDは、彼のわずかに残された作品の中から、
ヴァイオリンとピアノのための曲を録音したもの。


これがいい。


この前に、イヴァシキンが弾くチェロソナタ(シャンドス)を
聴いたけど、それよりずっといいと思ったね。


とくに、ソナタの4番と1番がいい。


やたらと複雑な和音とメロディが、
どこまでもうねうねと流れ続けるような音楽。


ほとんど無調だけど、調性感が濃厚。
だけど、複雑すぎて、和音の流れを見通すことができない。


ぼくは目まいがしそうになったよ。


これは暗い。


こんなメランコリックなヴァイオリンソナタ
聴いたことがないかも。


ちょっとすごい。
同時期のドイツの先鋭的な作曲家たちに負けていない。
それどころか、ぼくはこっちのほうが好きかも知れない。


ぜひ一度、聴いてみていただきたい。


女子供はお呼びじゃない。
ハードボイルドなセンチメンタリズム(?)。


これぞもてない音楽。