グルジェフ&ハルトマンのピアノ曲を聴く!
今回のCD
グルジェフ&ハルトマン「ピアノ作品1 アジアの歌とリズム」
GURDJIEFF/HARTMANN「Music for the Piano Vol.1: Asian Songs and Rhythms」
(ドイツ・WER6284-2)
音楽聴き放題
最近ナクソス・ミュージック・ライブラリーに
入会しました。
ひと月1,890円で、ウェブ上で音楽聴き放題ってやつ。
ナクソスだけじゃなく、
シャンドスやBISといった、
クラシックの有名な
独立系レーベルが参加してる。
要するに、DGやEMI、SONYといった
メジャーレーベル以外の音源なら、
たいてい聴けるってわけ。
これ、思った以上にいい。
とくに、マイナー音楽好きのぼくにはぴったり。
しばらくCDは買わない気がします。
で、このサービスを使ってさっそく聴いてみたのが、
グルジェフのピアノ作品集。
マイナーレーベルの、
ドイツのWERGOから出てるやつ。
これがまた、すばらしかったので
ご紹介します。
神秘家の音楽
ゲオルギイ・グルジェフGeorges Gurdjieff(1877-1949)は、
20世紀前半の有名な神秘主義者らしい。
アルメニアに生まれ、
同志たちとロシアや欧州じゅうを経巡ったそうだ。
そして彼は、同志のひとりである作曲家の
トーマス・ド・ハルトマンThomas de Hartmann(1885-1956)と
組んで、ピアノ曲をたくさん作った。
グルジェフがメロディを示して、
ハルトマンが曲の形に整えていったらしい。
あやしい。
いったいどんな曲だろう?
もう、ずっと気になってたんだ。
期待でわくわくしながら聴きました。
あれ?
普通じゃん。
ちょっとがっかり。
しかし、普通の曲ではなかった。
普通以上なのだ。
音楽としてすばらしいではないか!
解説書には、
グルジェフは中央アジアを歩き回っていたから、
そのへんのエキゾチックな雰囲気がぷんぷん、と
書かれていたけど、ぼくが聴く限り、
エキゾチズムは、それほど強くない。
むしろ、19世紀ヨーロッパ音楽の
伝統につらなる作品という感じ。
ごくまっとう。
特徴を挙げるとすれば、
ひどくさびしげで、静かだということ。
瞑想的と言えば、たしかにそうかもしれない。
ぼくは夜の音楽という気がしました。
冬の、寒くてさびしい夜にぴったり。
聴いていると、コーカサスの茫々とした山野を歩く、
巡礼者の姿でも思い浮かびそう。
これほどストイックな響きは、
20世紀前半のクラシック音楽としては異例。
そのせいか、とても現代的に聞こえる。
ちょっとジャズっぽいかも。
キース・ジャレットがグルジェフ作品集を
ECMに吹き込んだというのもうなずける。
WERGOのほかに、
アメリカのCelestial Harmoniesレーベルからも
グルジェフ作品集が出てたから、
そっちも聴いてみたけど、
聴けば聴くほど味わい深いです。
あやしい、なんて思っていた自分が恥ずかしい。
これは、もっと多くの人に聴かれるべき音楽だ。
ただ、こんなのを聴いてても、
女の子にはぜったいにもてません。