スクロヴァチェフスキのブルックナーを聴く

コンサート報告です


【今回のコンサート】
読売日本交響楽団第513回定期演奏会
2012年3月6日(火)サントリーホール(赤坂)


【ミュージシャン】
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
管弦楽読売日本交響楽団


【曲目】
ショスタコーヴィチ交響曲 第1番 ヘ短調 作品10
ブルックナー交響曲 第3番 ニ短調 WAB.103

待望のコンサート


読響のコンサートに行ってきました。
当日券で行こうと思ってたら売り切れだったので、
知人友人のご厚意で聴くことができました。
ありがとうございます。


さてスクロヴァチェフスキブルックナー


いつか聴かなくちゃと思っていたのですが、
ようやく聴く機会が訪れました。


ブルックナーちっとも好きじゃない


でも、気になる作曲家ではあるのです。
第一人者であるスクロヴァチェフスキの指揮で
いちど聴くべきだと思っておりました。


で、今回のコンサート。


前半はショスタコーヴィチの1番。


めちゃめちゃかっこいい


以前も同じ組み合わせで聴いたけど、
今回のほうがかっこよかったなぁ。


若きショスタコーヴィチの客気あふれる複雑な響きを、
きびきびと的確に処理。


スクロヴァチェフスキは老体と思えない指揮ぶり。


おなじ80代でも、去年NHKホールで見たプレヴィンとはぜんぜん違う。
(プレヴィンのからだが心配です)


読響もすばらしい演奏。
堂々たるフィナーレは、もう言うことなし。

ユニークな音楽


後半がブルックナーの3番。


こちらもすばらしい演奏。
弦がよく響くこと。
コントラバスのピチカートがずんずん聞こえる。
金管もすばらしい。


ごく個人的な印象ですが、
ブルックナーどれもいっしょに聞こえるわけです。


しかも単調*1
いろんな音色を聴かせてくれるフランスあたりの作曲家とはぜんぜん違う。


メロディもないしさ。


リズムはあるけど、ブルックナーの曲のリズムって、
ベートーヴェンみたいに、前に進んでいくリズムじゃなくて、
その場で足踏みしてるみたいな感じがする。
運動ではなくて、音響の一部としてのリズムみたいな印象です。


つまり、ブルックナーって、
構成と音響で聴かせる作曲家なんだろうと想像してます。


曲の構成は、ぼく、よくわからないので、
音響について書くんですけど、
ブルックナーの曲って、オケをひとまとめにしてジャーンと鳴らす喜びに
ひたるようなところがあるようと感じてます。


だってソロらしいソロもないし。


だから、よく言われるように、
オルガンをオーケストラに移したような音楽だと感じます。


つまらんといえば個人的にはごくつまらんのですが、
まちがいなくユニークな音楽ではあります。
ほかに似てる人がいない。


ぼくはユニークな音楽が好きなんです。
だから気になる存在ってわけです。


で、上記のことをふまえると、
今回の演奏は、まさに「オーケストラをひとまとめにしてジャーンと鳴らす喜び」
にひたれる演奏だったと言えます。


ことに終楽章、もりあがるところでは、
ほんとうにオルガンが鳴っているような印象を受けました。


スクロヴァチェフスキは、オーケストラをひとつの機械のように
まとめあげていたと思います。


オーケストラを聴いていて、こういう印象を受けることはあまりありません。
(オケ全体がたったひとつの響きに奉仕する、とでもいいますか)


なるほど、これがブルックナーを聴く楽しみなのかと
少し合点がいきました。


たいして眠くもならずに一時間を過ごしました。*2


いやいや面白かった。
会場は万雷の拍手です。


スクロヴァチェフスキがすごいのはもちろんですが、
読響もたいしたものです。
やっぱり、いま日本でいちばんのオーケストラはここだろうと思います。


来月はカンブルランの指揮でフランクをやるそうなので、
ぜったい聴きに行こうと思ってます。


スクロヴァチェフスキもまたぜひ聴きたいなあ。


しかし、ブルックナーなんて聴いてたら、
女の子にはぜったいにもてないよね。ご注意あれ。

*1:揚げ物ばかりやたらたくさんあるウィーンの食い物を思い出しちゃう。(ブルックナーリンツですが)

*2:ほめ言葉なので、誤解なきよう。