真の名曲とは隔絶した存在である
「LAMENTO」
コダーイ:チェロ・ソナタ Op. 8/ヒナステラ:プネーニャ第2番 Op. 45/ブリテン:チェロ・ソナタ第1番(クルーグ)
KODALY, Z.: Cello Sonata, Op. 8 / GINASTERA, A.: Punena No. 2, Op. 45 / BRITTEN, B.: Cello Suite No. 1 (Lamento) (Krug)
リヒァルト・クルーグ - Richard Krug (チェロ)
(デンマーク・Classico classcd624)
(ナクソスミュージックライブラリー)
http://ml.naxos.jp/album/classcd624
チェロ独奏曲の最高峰
ハンガリーの作曲家、コダーイの独奏チェロソナタOp.8(無伴奏チェロソナタ)は名曲です。
張り詰めた空気、ほとばしる情熱、静と動の驚くべき振幅。
最初から最後まで、手に汗握る。
これぞ音楽。
チェロ一本でこれほど広大な世界を描き出す。
世紀の傑作。
チェロの独奏曲としては、バッハに次ぐものだと信じます。
ところがこの曲、コダーイのほかのどの曲にも似ていない。
「ハーリ・ヤーノシュ」とか「ガランタ舞曲」とか、いい曲はあるけど、このチェロソナタの達している水準とはかけ離れている気がする。
ごく個人的な印象ですが、「ハーリ・ヤーノシュ」組曲とか聴いていると、この作曲家があのチェロソナタを作った人と同じとはとうてい信じられない。
しかし、真の名曲とはそういうものなのかもしれないという気がします。
おそらく完成した瞬間、ほかの作品から隔絶してしまうのでしょう。
一発屋、というのはひじょうにたとえが悪いし、コダーイが一発屋だとは少しも思わない。
しかし、どういうわけだか、ひとつの作品だけが突出してしまうというのは、ありうることだと思うのです。
この曲を聴き、コダーイの別の曲を聴くと、いつも驚異の念にうたれます。
真の名曲とは隔絶した存在である。
この命題の真偽やいかに。*1
で、このアルバムです。
デンマークで活躍するチェリスト、クルーグが熱演です。
いいと思いました。
ヒナステラの曲はあまり面白くないけど、ブリテンの組曲はやっぱりいいです。
もしご存じでない方がいたら、ぜひコダーイのこの曲、聴いてみてください。
もちろん、こんな音楽を聴いていても、女の子にはもてません。
(まちがってもデートで使わないようにおすすめします)