ミャスコフスキーの交響曲全集を聴く

putchees2008-06-28


スヴェトラーノフの偉業


ロシアの指揮者&ピアニスト・スヴェトラーノフSvetlanovが
吹き込んだ、ミャスコフスキー交響曲全集を買いましたよ。
(仏ワーナークラシック2564696898)


16枚組で、なんと6000円。


どのCDも、80分近く収録されているので、
聴くだけでお腹いっぱいです。


さて、ミャスコフスキーMiaskovsky(1881-1950)といえば、
ソビエト連邦の作曲家の中で最大のシンフォニスト*1


番号付き交響曲だけで27曲


全部聴いてみたいというのは、
マイナー音楽愛好家なら、みな同じ願い。


今回のボックスセットは、
うれしい限りです。


さて、ぜんぶ聴いてみましたよ。


いやあ、地味な音楽だね。


基本的に、パワー全開というよりは、
抑制のきいた、慎ましやかな音楽って印象だ。


要するに地味なんだけど。


ハチャトゥリアンよりずっと知的で、
ショスタコーヴィチより禁欲的だ。


まあやっぱり、単に地味なのかもしれないね。


交響曲の形式はおおむね3楽章で、
急→緩→急というセオリー通りの曲が多かった。
ぜんたいに、緩徐楽章のほうがずっと魅力的だと思ったね。


ミャスコフスキーって、
低カロリー志向の作曲家なのかもしれない。


この人、ホントに交響曲向きだったのかしらん?


ま、それはともかく、
以下に1曲ずつ、CDを聴きながら書いたメモを示しておきます。
こういうものでも残しておかないと、
個別の印象なんて忘れてしまうので。


【番号付き交響曲
1番:まるでマーラーだ!
2番:2楽章で約50分。ロマン派の末期的長大音楽。
3番:冷たい感じの音楽。やや晦渋。
4番:暗い。そして切迫した音楽だ。
5番:悲劇が近づいてきたと思ったら、やがて明朗に終わる。
6番:巨大で重苦しい音楽。終盤の静謐さはすばらしい。
7番:ショスタコーヴィチ的な深刻さ。
8番:第三楽章の民謡ふうのゆったりした感じはなかなか。
9番:近代ロシア人の苦悩って感じ。
10番:単一楽章の力強く悲劇的な音楽。
11番:うーん、渋い。
12番:クールでキビキビした音楽。
13番:単一楽章の沈鬱な曲。
14番:なかなか暗い。
15番:流麗でモダン。
16番:堂々とした音楽。
17番:平明。わかりやすい。
18番:レントが切なく、美しい。
19番:田園ふうで明るい。2楽章のワルツが良い。
20番:地味で抑制された音楽。
21番:ややメランコリックで端正な単一楽章の曲。
22番:一楽章もの。30分あたりからやたらカッコよくなる。
23番:緩徐楽章は美しく、最終楽章は愛らしい。
24番:これぞ社会主義リアリズム?第二楽章は最高!
25番:アダージョから始まる。おごそかでつつましい音楽。
26番:北国のさわやかな朝って感じの音楽だぜ。
27番:明朗だが、憂愁を秘めているようにも聞こえる。


【その他】
Hulpigung's序曲op.4:壮麗でさわやか。
沈黙op.9:ねっとりとメランコリックな音楽。これはいい。
シンフォニエッタop.10:その名の通り愛らしい小交響曲
シェリーの詩による交響詩Alastor/op.14:わりとドラマチック。
セレナーデop.32-1:まさに小品って感じ。
シンフォニエッタop.32-2:弦楽のための。クールな響きがいい!
叙情的コンチェルティーノop.32-3:牧歌的な小品。
リンクスop.65:平和な感じ。
シンフォニエッタop.68:これも弦楽。これまた冷たく厳しい響き。
スラヴ・ラプソディop.71:健康的な音楽。
悲愴序曲op.76:タイトルに反して快活。
ディヴェルティメントop.80:慎ましやかな管弦楽曲


以上です。


うーん、ほとんど感想にもなってないような感じだね。


正直、どれも似たり寄ったりなので、
いちど聴いただけじゃ区別が付かない。


この中でいちばん有名なのは6番らしいけど、
こうして通しで聴いた限りでは、
6番が突出してすぐれた曲だとは思わなかったね。


ちなみに、交響曲6番は、
合唱なしで収録されている。


もちろん「お、これは!」という部分も
あちこちにあったので、
何度も繰り返し聴くうちに魅力がわかってくるのかもしれない。


しかし、なんといっても27曲だからねぇ。


人生で、そう何度も聴き直す音楽ではないかもしれないね。


ともあれ、このスヴェトラーノフの偉業を聴く価値は
じゅうぶんにあると思います。


みなさんもおためしあれ。


もっとも、こんな音楽を聴いていても、
女の子にはぜったいにもてないね。

*1:ミャスコフスキーは、バルトークと同い年。ヴェーベルンもほぼ同世代。