ハチャトゥリアンの交響曲三番を生で聴く!

putchees2010-06-27


今回はコンサート報告です


新日本フィルハーモニー交響楽団
第463回定期演奏会
2010年6月26日(土)14:00〜16:00
東京 錦糸町すみだトリフォニーホール


曲目
J.S.バッハ(エルガー編)「幻想曲とフーガ ハ短調 BWV537」
●ハチャトゥリャン「交響曲第3番ハ長調 交響詩曲」
J.S.バッハレスピーギ編)「パッサカリア ハ短調 BWV582」
レスピーギ交響詩 ローマの祭」


指揮:下野竜也
管弦楽新日本フィル

最強の爆裂音楽


クラシック音楽野蛮で何が悪い!


きょうは新日本フィル定期演奏会に行ってきたんだ。


曲目はハチャトゥリアン交響曲三番。


以前このブログで紹介しました。
http://d.hatena.ne.jp/putchees/20080615


編成も内容もどうかしちゃってる、
破格のシンフォニーなんだ。


東京で生で聴けるとは思わなかったよ。


わくわくして出かけました。


指揮は下野竜也


下野竜也は、以前、読響と演奏した
黛敏郎の「涅槃交響曲」がすばらしかった。
http://d.hatena.ne.jp/putchees/20090408


そのときから、ぼくは大指揮者だと思っている。
だから大いに期待。


さあ始まった。


この曲、大オーケストラに、
別働隊のトランペットが15本
さらに、オルガンが加わる。


普通じゃない。


トリフォニーホール舞台後方のバルコニーに、
左右に分かれてトランペットの別働隊が15人並ぶ。


弦のトレモロに導かれ、
トランペットのファンファーレで開幕。


ちょっと元気がない。
音色がおとなしい。


こういう曲では、ぜひ、
オーケストラ・ダスビダーニャのトランペット奏者を
エキストラで呼んでいただきたい。
あの荒々しい音色がほしいところ。


ファンファーレが終わって、
オルガンのソロ。


ものすごい勢いで上下行を繰り返す。
音の洪水だ。奔流だ。


こんな下品なオルガン
ほかでは聴けない。


ハチャトゥリアンは怖いもの知らずだ。


弦が加わって、ねちっこい、民族音楽ふうの
メロディを歌い上げる。


豊饒で流麗な和音とは無縁


ハチャトゥリアンの流儀なんだな。


ふたたびトランペットのファンファーレが加わる。
おとなしかった音色が、次第に熱を帯びてくる。
よしよし。


ずらりと並んだ打楽器が、ドカドカわめきちらす。


がんがん盛り上がって、
もう終わるかと思ったら、
いつまでも爆発を繰り返して終わらない。


しつこい。


くどい。


かましい。


三拍子揃った、これぞもてない音楽
女子供が裸足で逃げ出す。


さすがにそろそろおしまいかと思ったら、
まだ終わらない。


オーケストラが、
耳をつんざく轟音を発する。


オーケストラが
こんなにでかい音を出すのを、
ぼくは初めて聴いたよ。


Cメジャーの和音を
臆面もなくジャーンと鳴らして、
ハイおしまい。


おおすごい。
最高だ。


でも、ブラヴォーと叫んだのは、
ぼくだけだったよ。


新日本フィル上品なお客さんは、
お気に召さなかったようだ。


くっそう。


クラシックファンは、
こういう頭の悪い音楽が嫌いなんだな。


クラシック音楽が野蛮で何が悪い!

下野竜也すごい!


きょうのメインは、
オットリーノ・レスピーギ
「ローマの祭り」


もちろん、知ってる曲だけど、
生で聴くのは初めて。


いいね。すごいね。


これもオケが大編成。
打楽器が10人に、
別働隊のトランペットが加わる。


美しいメロディに
豊かなハーモニー、
それに多彩なリズム。


これぞ古典(クラシック)という気がする。


オーケストラがよく鳴ること。


新日本フィルが、
こんなによく響くのを、
ぼくは初めて聴いたよ。


これは曲のせいだけじゃないね。


下野竜也の力量だろう。


曲のポテンシャル
最大限引き出そうとしているようだ。


それができる指揮者なんだな。
期待に応える楽団員もみごと。


きらびやかで、グロテスク。
まさに祝祭といった感じ。


これは春の祭典に負けてないよ。


あれだけのケレン味はないけど、
こちらのほうが端正で風格がある。


ぼくはひょっとすると、
「ローマの祭」のほうが好きかも知れない。


最高潮に達して、
堂々たるフィナーレ。


うーん、やるな。


これだけヴァイタリティのある音楽を
ガンガン鳴らせる指揮者はそういない。


とくに日本では珍しいだろう。


下野竜也すばらしい才能だ。


あらためて敬服しました。
この人すごいよ!

伊福部かハチャトゥリアン


ほかの曲もよかったよ。


エルガー編曲のバッハのオルガン曲。


メロディはバッハなのに、
サウンドは完全にエルガー


編曲なのに、エルガーは自分の
作品番号までつけちゃったらしい。


それくらいエルガー
オーケストラ音楽になってる。


まるで「威風堂々」。


いやあ面白い。


もうひとつは、
レスピーギ編曲のバッハ。
やはり原曲はオルガン独奏だ。


こちらの管弦楽編曲はエルガーより端正で
古典的なたたずまい。


音楽学レスピーギの面目躍如といったところ。


両者のサウンドの違いが面白かった。


全体に大満足のコンサートでした。


ハチャトゥリアンで顔をしかめたお客さんも、
「ローマの祭」で機嫌を直したことでしょう。


実はこの日、同じ時間に、
サントリーホールで日本フィルが伊福部昭
「ラウダ・コンチェルタータ」をやっていたんだ。


ハチャトゥリアンも伊福部も、
どっちもヴァイタリティ炸裂系の音楽。


これは客層がかぶるでしょう。


ぼくは一晩悩んで、すみだトリフォニーホールに行ったんだ。
だって、伊福部の「ラウダ・コンチェルタータ」は
3年に1回は聴けるけど、ハチャトゥリアンの3番は、
次回は20年後かも知れないからね。


とまれ「野蛮なクラシック」好きは数が少ないんだから、
客を食い合わないよう、在京オケは、
プログラムを互いにうまいこと調整していただきたい。


これが「伊福部&ハチャトゥリアン」と
モーツァルトロッシーニ」なら
誰も迷ったりしないだろうに!


それにしても、下野竜也はいいな。
ぜひ、彼に伊福部昭を振ってもらいたいものです。


いいコンサートだったけど、
ハチャトゥリアンなんて聴いてたら、
女の子にはぜったいにもてません